プロモーション戦略というと、広告やSNSや展示会といった手段の一覧から、自社に合いそうなものを選ぶ作業だと思われがちです。順番が逆です。先に決めるのは、目的と相手と、1件の受注や問い合わせにいくらまで払えるかという上限額。この3つが決まると、選べる手段はかなり絞られます。上限額が12,000円なのに、1件12万円かかる手段を選んでしまう事故が起きなくなるからです。
この記事では、上限額を粗利から計算する式、手法を効果が出るまでの速さと費用で並べた表、月額いくらで何が動くのかを実際の金額で書いています。
先に押さえておくこと
- 決める順番は、目的、相手、1件あたりの上限額、そのあとに手段
- 上限額は売上ではなく粗利から逆算する
- 手法は、止めたら消えるものと、止めても残るものに分かれる
- 予算を薄く3つに割るより、受け皿を1つ直すほうが先
- 始める前に、いつ何を見て止めるかを決めておく
プロモーション戦略とは、誰に何をどの順番で伝えるかを決めること
プロモーション戦略とは、商品やサービスを知ってもらい、選んでもらうために、誰に、何を、どの手段で、どの順番で伝えるかを決めた計画です。マーケティングの4P(商品、価格、流通、プロモーション)のうち、最後のプロモーションにあたる部分を担当します。

似た言葉が並ぶので、範囲を整理しておきます。
| 言葉 | 決めること | 対象範囲 |
|---|---|---|
| マーケティング戦略 | 何を、いくらで、どこで、どう伝えて売るか | 4P全体 |
| プロモーション戦略 | 誰に、どの手段で、どの順番で伝えるか | 4Pのうちプロモーション |
| 販売促進(販促) | 買う直前のひと押しをどう作るか | 割引、クーポン、店頭の仕掛けなど |
| 広報(PR) | 第三者に取り上げてもらう関係をどう作るか | 報道、業界メディア、口コミ |
ここで注意したいのは、プロモーションだけを直しても売れないことがある点です。価格が相場から外れている、商品が相手の悩みに合っていない、注文するまでの手間が多い。この3つのどれかが原因なら、広告費を増やしても穴の空いたバケツに水を足すことになります。4Pの残り3つが妥当かどうかは、マーケティングの4Pの記事で先に確認してください。
手段を選ぶ前に決める3つのこと
手段を選ぶ前に決めるのは、目的、相手、1件あたりの上限額の3つです。この順番で決めると、候補の手段は自然に2つか3つまで減ります。逆に、この3つが空欄のまま手段の比較を始めると、いつまでも決まりません。

- 目的を1つに絞る。知ってもらうのか、比べてもらうのか、指名で選んでもらうのか。この3つは必要な手段がまったく違います。認知と受注を同時に目的にすると、どの数字を見て判断すればいいのかが決まらなくなります。
- 相手を決める。新規の人に届けるのか、すでに買ってくれた人にもう一度来てもらうのか。同じ金額でも、既存のお客様への案内のほうが成約率は高く出ます。名簿がある会社なら、新規に広告を出す前にそちらを試したほうが早いことが多いです。
- 1件あたりの上限額を出す。次の見出しで計算します。
相手を決める段階で迷ったら、ターゲット市場の選び方を参照してください。ここを曖昧にしたまま進めると、伝える内容が誰にも刺さらない当たり障りのない文章になります。
1件の獲得にいくらまで払えるかを計算する
上限額は、売上ではなく粗利から逆算します。売上の何%という決め方だと、売れていない時期ほど予算が減り、必要なときに動けなくなるためです。

受注型の商売で計算してみます。
- 1件あたりの受注金額が300,000円、粗利率が40%なら、1件の粗利は120,000円
- その粗利の30%までを獲得費用に充てると決めると、成約1件あたり36,000円
- 問い合わせ3件のうち1件が成約するなら、問い合わせ1件あたり12,000円まで払える
- 広告のクリック単価が200円なら、12,000円で60クリック。60クリックで1件の問い合わせが来ればちょうど収支が合う計算です
つまり、サイトの問い合わせ率が1.7%あれば成立し、0.5%しかなければ赤字になります。広告を出す前に、自社のサイトが今どちらなのかを見ておく。これだけで、動かして初めて赤字だと気づく事態を避けられます。
月額課金やリピート前提の商売なら、1回の取引ではなく続く期間で見ます。月5,000円で平均12か月使ってもらえるなら売上は60,000円、粗利率60%で粗利は36,000円。その3分の1を上限にすると12,000円です。ただし粗利は月3,000円ずつしか入らないので、12,000円を回収し終わるのは4か月目。手元の資金がその4か月に耐えられるかどうかまで見ておく必要があります。
予算の決め方は3つあり、状況で使い分けます。
| 決め方 | やり方 | 向いている場面 | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 売上比率で決める | 売上の数%を充てる | 売上が安定している | 売れない時期ほど予算が減る |
| 目標から逆算する | 欲しい件数 × 1件の上限額 | 目標件数がはっきりしている | 本当に届く件数かの検証が要る |
| 上限額から積み上げる | 粗利から上限額を出し、手段ごとに配る | 使える金額が限られている | 粗利率を把握していないと計算できない |
粗利率がすぐに出てこない場合は、その把握から先です。ここが分からないまま広告を出すのは、いくら使っていいか知らずに買い物をするのと同じことになります。
手法は、効果が出るまでの速さと費用で並べる
手法を選ぶときに見るのは、効果が出るまでの速さ、費用のかかり方、そして止めたときに何が残るかです。この3つで並べると、自社が今どれを選ぶべきかがはっきりします。

| 手法 | 効果が出るまで | 費用のかかり方 | 向いている場面 | 止めたとき |
|---|---|---|---|---|
| 検索連動型広告 | 数日から2週間 | クリックごとに課金 | 悩みが言葉になっていて、今すぐ探している人がいる | すぐゼロになる |
| SNS広告 | 数日 | 表示やクリックごとに課金 | まだ知られていない商品を知ってもらう | すぐゼロになる |
| 記事とSEO | 3か月から半年以上 | 制作費が先に出る | 検索される悩みがあり、続けられる体制がある | 残る |
| チラシとDM | 1週間から2週間 | 部数ぶんが先に出る | 商圏が狭い、対象が高齢層 | すぐゼロになる |
| 展示会とイベント | 当日から数か月 | 出展料が先に出る | 対面で説明しないと伝わらない商材 | 名刺と関係が残る |
| 紹介と口コミ | 数か月以上 | ほぼ人件費 | 既存のお客様がいて満足度が高い | 残る |
止めたら消える手段だけで組むと、広告費を止めた月に問い合わせもゼロになります。逆に残る手段だけだと、立ち上がるまでの数か月を売上なしで耐えることになります。どちらか一方に寄せず、速く効くものと残るものを1つずつ持つのが、資金に余裕のない会社ほど安全です。
自社サイトからの問い合わせを増やす具体的な打ち手は、集客方法の記事にまとめています。
予算は3つに割らず、受け皿から順に配る
限られた予算は、受け皿、今すぐ客を拾う手段、残る資産の順に配ります。月10万円を3つの手段に3万円ずつ割ると、どれも中途半端な量にしかならず、どれが効いたのかも分かりません。
受け皿というのは、問い合わせページや商品ページのことです。電話番号だけが置いてあるページ、何をいくらで頼めるのか書いていないページ、スマートフォンで開くとフォームがはみ出すページ。この状態で広告を出すと、払ったクリック代がそのまま消えます。先ほどの計算でいえば、問い合わせ率0.5%を1.7%に上げる作業のほうが、広告費を3倍にするより安く済みます。
自治体や国の補助金を使って初期費用をまかなう手もあります。制度の内容と募集時期は年度ごとに変わるので、応募前に最新の公募要領を確認してください。使えるものの考え方はマーケティングに使える補助金にまとめています。
月いくらから動くのか、実際の金額で書きます
支援を外部に頼む場合、当社の料金は月額55,000円から550,000円です。金額の幅は、相談だけを受けるのか、実際に手を動かすところまで含むのかの違いになります。

| 月額 | 何が動くか | 何は動かないか |
|---|---|---|
| 55,000円 | チャットでの相談。判断に迷ったときに聞ける | 実際の制作や運用は自社で行う |
| 165,000円 | 相談に加えて月1回の打ち合わせ、優先順位づけと振り返り | 記事や広告の制作は含まない |
| 330,000円 | 戦略の設計、訪問での打ち合わせ、実務のリソース提供 | 広告費そのものは別 |
| 110,000円から550,000円 | SEOとコンテンツの支援。上位プランは月5本の記事制作を含む | 広告運用は別メニュー |
ここで見落とされやすいのが、支援の費用と広告費は別枠という点です。月16.5万円の支援を頼んだうえで、広告に月10万円を出すなら、合計26.5万円が出ていきます。支援費だけを見て予算を組むと、肝心の広告を打つお金が残りません。
外注するかどうかの判断材料は、中小企業のマーケティング支援で費用の内訳と分担の決め方を書いています。
効果測定は、続けるか止めるかを決めるためにやる
測るのは、報告書を作るためではなく、続けるか止めるかを決めるためです。だから見る数字は、問い合わせ件数、1件あたりの獲得費用、そこからの成約率の3つで足ります。表示回数や「いいね」の数は途中経過であって、判断の材料にはなりません。
始める前に、手段ごとに止める基準を決めておきます。検索連動型広告なら1か月、記事とSEOなら半年。この期間を過ぎても1件あたりの獲得費用が上限額を超えたままなら、その手段は自社に合わなかったということです。基準を決めずに始めると、成果が出ないまま「もう少し様子を見よう」で1年経ちます。
費用対効果の計算方法はROIとROASの違い、指標の組み立て方はKPI設計にまとめています。指標そのものの意味から確認したい場合はKPIとは何かを先に読んでください。
うまくいかないときに、まず見るところ
プロモーションが空回りしているとき、原因はたいてい手段の選び方ではなく、その前段にあります。次の5つを上から順に確認してください。

- 目的が2つ以上ある。認知も受注も同時に狙っていると、どの数字が良くなれば成功なのかが決まりません
- 受け皿がない。広告の行き先が会社概要ページになっている、フォームの入力項目が15個ある、といった状態
- 上限額を決めていない。いくらまで払っていいか分からないので、高いのか安いのかも判断できません
- 止める基準がない。効かない手段に払い続けることになります
- 毎月手段を変えている。記事もSNSも、数か月続けないと結果が出ません。3か月で乗り換えると、どれも立ち上がる前に終わります
大企業の事例を参考にするときも、この5つが自社で埋まっているかを先に見てください。テレビCMやインフルエンサーの起用が成功した話は、認知を取ることに数千万円を使える会社の話であって、月10万円の予算で同じ順番をなぞっても再現できません。年商1億円規模の会社が参考にすべきなのは、同じくらいの予算で動いている会社の打ち手です。
何から手を付けるか迷ったら
順番だけ間違えなければ、予算が小さくてもプロモーションは回ります。目的を1つに絞り、相手を決め、粗利から上限額を出し、受け皿を直してから手段を選ぶ。この順番です。
当社では、この順番を決めるところから一緒に考える伴走顧問と、記事とSEOで検索からの問い合わせを増やす支援を行っています。ネットショップやサービスサイトの集客、リピート施策、利益を残す設計まで、実務まで含めて担当します。福井県大野市を拠点に、地方の中小企業の予算感で組み立てます。
よくある質問
プロモーション戦略とマーケティング戦略は何が違いますか
マーケティング戦略は、商品、価格、流通、プロモーションの4つ全体を決めるものです。プロモーション戦略はそのうちの1つで、決まった商品と価格を、誰にどう伝えるかだけを扱います。商品や価格に問題がある場合、プロモーションだけを直しても結果は変わりません。
プロモーションの予算はいくらから始められますか
金額そのものより、1件の獲得にいくらまで払えるかが先です。粗利120,000円の商品で粗利の30%を上限にするなら、成約1件あたり36,000円。月に3件取りたいなら約108,000円が必要な計算になります。この計算をせずに「まず月5万円」と決めると、足りているのか多すぎるのかが判断できません。
中小企業はどの手法から始めるとよいですか
すでに問い合わせページや商品ページが整っているなら、検索連動型広告のように数日で結果が分かるものから試すと判断が早くなります。受け皿がまだ弱い場合は、広告より先にページを直したほうが同じ金額で成果が変わります。
効果が出るまでどのくらいかかりますか
手法によって差があります。検索連動型広告は数日から2週間、チラシやDMは1週間から2週間、記事とSEOは3か月から半年以上が目安です。この差を知らずに記事を1か月で打ち切ってしまう例が多いので、始める前に見る期間を決めておいてください。
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